当館所蔵の「鉄絵蒲公英文茶碗」が佐賀県重要文化財に指定されました
2025年05月02日
九州陶磁文化館所蔵の「鉄絵蒲公英文茶碗(てつえ たんぽぽもん ちゃわん)」(髙取家コレクション)が佐賀県重要文化財に指定されました。現在、第3展示室(九州の古陶磁)に展示中です。
今回の指定で当館が保管する佐賀県重要文化財は、「鉄絵蒲公英文茶碗」を含めて11件になります。
- 概要
17世紀初期頃に作られた蒲公英(たんぽぽ)を描く珍しい唐津焼の絵唐津の沓茶碗(くつぢゃわん)です。
寸法は、口径16.7×13.9cm、高さ7.3cm、底径7.3×6.1cmです。
口縁を内向きにすぼめながら轆轤(ろくろ)で円形に引いた後、楕円形に歪ませて作られています。
僧や神主らが履いた楕円状の履物(沓)に似た形状から沓茶碗と呼ばれています。
千利休没後に大名茶人として茶の湯をリードした古田織部(ふるたおりべ)の影響を受けています。 - 指定の理由
絵唐津のなかでも類例の知られていない蒲公英の意匠を中心とする沓茶碗の優品であることに加えて、沓茶碗の中でも初期と考えられる形状であり、大名外交に茶陶が用いられるなかで重用された唐津焼の歴史的背景を雄弁に物語っていることから、きわめて重要な作例であると評価されています。