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銹瑠璃青磁釉蓮鷺文輪花三足皿

銹瑠璃青磁釉蓮鷺文輪花三足皿

重要文化財 / 佐賀県重要文化財

銹瑠璃青磁釉蓮鷺文輪花三足皿

生産地
肥前 有田
制作年代
1640年代頃
備考

 平成30年(2018)4月13日指定

 本作品は、初期伊万里後半段階の三足皿で、褐色の銹釉・藍色の瑠璃釉・緑色の青磁釉に白色の透明釉・黄褐色の黄釉を加えた5種類もの異なる釉薬を組み合わせて多彩に表現し、一つの器の中にさまざまな技法を駆使したもので、肥前磁器が色絵を初めとする中国系技術の本格導入により急激な技術革新を遂げる直前に、当時の最高の技術を注ぎ込んだ極めて特殊で上質の作品で、有田の山小屋窯で制作された可能性が高く、制作年代は1640年代頃と考えられる。
 主文である蓮と鷺を組み合わせた蓮鷺文は、元々は中国の吉祥文様として「一路連科」(=立身出世)を意味するもので、外側面の丁子(香料のクローブ)文は宝尽くしの文様に用いられる吉祥文であることと併せ、特別な器であることを示唆している。伝来については未詳のため、具体的にどのような階層に受容されたか特定できないものの、海外輸出が始まる以前の国内向け製品の中でも類例が極めて少なく、一点ものとして作られた特別な器と考えられる。
 本作品は、初期伊万里のなかでも数種の釉薬を使い分けて多色とした作例で、文様構成や造形に優れ、表現豊かな格調高い優品であり、美術的価値が高く、陶磁史的にも重要である。