展示案内EXHIBITION

蒲原コレクション

【有田町所蔵・佐賀県立九州陶磁文化館寄託】

 蒲原(かんばら)コレクションは、有田町出身で名誉町民である蒲原権氏(1896~1987)が収集され、有田町に寄贈されたものです。今から約300年前に有田で作られ、ヨーロッパに運ばれた里帰りの作品です。その他、ヨーロッパや中国で模倣された作品も含まれています。有田で作られた磁器は伊万里港から積み出されたもので、江戸時代には伊万里焼と呼ばれていました。現在は古伊万里とも呼んでいます。輸出された古伊万里には様々な特徴がありますが、とくに染付の藍色に上絵付けの赤色と金色を組み合わせた金襴手と呼ばれるタイプのものが華やかです。金具はヨーロッパで付けられ、シャンデリアやランプ等としても利用されています。調味料セットには酢や油を意味するアルファベットの文字が描かれ、またオランダ東インド会社の商号であるVOCのマーク入りの皿もあります。
 佐賀県立九州陶磁文化館の開館にあわせて有田町から寄託され、常設展示しています。

蒲原 権(かんばら はかる)氏 略年譜

明治29年(1896) 佐賀県有田町赤絵町で旅館「佐賀屋」を営む蒲原権蔵・セイ夫妻の長男として生まれる。
大正9年(1920) 長崎高等商業学校(現在の長崎大学)を卒業後、三井物産に入社。陶磁史の研究を始める。
昭和21年(1946) 三井物産を退社。
昭和23年(1948) 西日本物産設立などに参画する。
昭和39年(1964) 有田町文化財保護審議会委員に就任。
昭和49年(1974) ヨーロッパ各地で古伊万里を収集。有田に国際的な陶磁美術館が建設されることを構想する。
昭和51年(1976) 有田町歴史民俗資料館が設立されるのを機に、コレクションを有田町に寄贈。
昭和55年(1980) コレクションが佐賀県立九州陶磁文化館の開館にあわせて寄託・常設展示される。有田町名誉町民となる。
昭和62年(1987) 3月14日逝去(享年91)。