佐賀県立 九州陶磁文化館

  • ARITA Porcelain 400th Anniversary Event

展示案内EXHIBITION

唐津高取家寄贈品

 唐津高取家寄贈品は、平成19年(2007)3月に高取紀子氏から寄贈していただいた540件1,727点の陶磁器で、佐賀県唐津市の旧高取邸(重要文化財「旧高取家住宅」)で使用されたものです。
 炭鉱王として知られた高取伊好(たかとり これよし)氏と志那夫人、伊好氏の長男である高取九郎氏(高取紀子氏の夫)が活躍した時代に髙取邸を訪れた皇族、財界人、文人など多くの人々を饗応する宴席や茶室「松風庵」での茶事に供された食器や酒器、室内を飾った調度品や文具など、高取邸で用いられたさまざまな陶磁器で、肥前の陶磁器を中心に日本各地や諸外国のものも含まれます。

旧高取邸と唐津高取家

 旧高取邸は、高取伊好氏が、明治38年(1905)年に唐津城西の海岸沿いに建てた和風木造住宅です。和風を基調にし居室棟に洋室を持つなど近代和風建築の特色を持ち、大広間棟に能舞台を設け、杉戸や欄間などの内部意匠にも優れています。明治期の和風木造住宅として佐賀県内では最大級の規模で、良質な材料をふんだんに使用し意匠も優れた住宅建築として貴重であることから、平成10年(1998)に「旧高取家住宅」として国の重要文化財(建造物)に指定されました。

 高取伊好氏(1850-1927)は、佐賀藩多久領の鶴田家に生まれ、後に高取家に入り、明治5年(1872)より工部省鉱山寮(東京大学工学部の前身)で採炭学を学び、官営高島炭鉱に勤めるなどした後に鉱山経営を志し、杵島炭鉱を中心とした炭鉱王として成功した人物です。篤志家で、遺志により佐賀県窯業試験場の建設費として嗣子九郎氏から寄付がなされ、有田に第一試験場、塩田(嬉野市)に第二試験場が設立されるなど、窯業会への貢献も大きかった人物です。妻の志那夫人は長崎の出身で、茶事を楽しみ、高取邸を訪れる人々をもてなしました。

 高取九郎氏(1888-1959)は、伊好氏の長男で、高取紀子氏の夫です。東京帝国大学法学部政治学科で学び、大正8年(1919)に高取鉱業株式会社副社長と高取合資会社社長に就任し、昭和20年(1945)から杵島炭礦株式会社社長、昭和30年(1955)から同会長を務めました。唐津ゴルフ倶楽部の創設、鏡山登山道の造成援助、古唐津復興支援など唐津の文化と観光事業に尽力しています。