佐賀城のこと

夏目漱石、種臣の書を求める

夏目漱石、種臣の書を求める

 拝啓二三日前副島蒼海伯の書を得た処読めぬ処あり臨摹貴覧を煩し御判定を仰ぎ度と存候書は七絶にて左の如し
〔副島伯七言絶句写し略〕
 是は山上陰雲一鷲沖。山頭原豁急西風。我行久在○○深林〔二字不明○○○○(?)(又は?)此兀○◎〔一字不明〕空と読むだらうと思うが○をつけた処は不確実◎をつけた字は全然不明なり他日機会があれば見て貰ふがまあ一寸見ないで読んでくれ玉へ 以上
   二月二十二日               金之助
 虎雄様
『漱石全集』第十九巻・書簡集・続(岩波書店、昭和4年)

 上は夏目漱石が大正5年2月22日付で友人の菅虎雄すがとらおに宛てた手紙です。副島種臣の書を求めたが、多くの字が読めないので、読んでほしいと。しかも「臨摹」(模写)まで付けて尋ねています。漱石も副島伯の書をコレクションしたかったことがわかります。
 書を多く揮毫した漱石をもってしても、解読不能という種臣の書。読みにくいのはむかしから有名だったのです。

 当館では2023年に新たに石川九楊編『知られざる明治維新――副島種臣書』を出版しました。さらに本書に収録した約50点の作品には、すべて解読し現代語訳(高橋博巳・訳)を付しており、これは副島種臣作品集ではじめての試みです。
 全国の書店、あるいは本丸歴史館HPからお求めください。

 また、当館では「佐賀城本丸クラシックス」シリーズで副島種臣書簡集の出版も企画しています。ぜひお楽しみに。(古)

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