肥前さが幕末維新博覧会プレ特別展「1867年パリ万博と佐賀藩の挑戦」
※この企画展は終了しています。
平成29年(2017年)は、1867年の第2回パリ万国博覧会の開催から150年を迎える年です。
この万博は、日本が初めて正式参加(出展)した万博で、幕府の諸藩への参加要請に対して、前藩主鍋島直正が即決して参加したものです。 この時に、日本から参加したのは幕府(日本大君政府)・薩摩藩(薩摩大守政府)・佐賀藩(肥前大守政府)の「3政府」だけでした。
佐賀藩からは、佐野常民(団長)、藤山文一、小出千之助、野中元右衛門、深川長右衛門の5人が派遣され、イギリス滞在中の石丸虎五郎(安世)、馬渡三郎の2人がパリで合流しました。
佐賀藩の参加の目的は、「西洋文明の吸収」と「佐賀藩特産品の売込み・プレゼンテーション」で、佐野は蒸気軍艦の購入交渉の特命も受けていました。
佐賀藩使節団は、陶磁器や白蝋、和紙、茶など佐賀藩領内の特産品を多数出品するとともに、欧米の進んだ技術や制度の吸収に努めました。団長の佐野は、この経験をもとに、明治政府の「博覧会男」として、ウィーン万博(1873年)参加など博覧会・博物館行政をリードしました。また、パリ万博で「赤十字」を視察し、西南戦争(1877年)の際に「博愛社」(後の日本赤十字社)を創設しました。
本展覧会では、パリ万博会場で直接購入されたものを含む佐賀藩出品陶磁器がパリのセーブル国立陶磁美術館に保管されており、その初めての里帰り出品が実現します。
また、薩摩琉球国勲章などの門外不出資料、派遣メンバーの残した記録などの未公開資料など、貴重な資料の数々を展示します。
更に、佐野や野中の記録からパリ万博に参加したメンバーの行動をたどるとともに、幕府や薩摩藩の使節団員との親交を追い、佐賀藩使節団が何を考え、行動していたかを探ります。
加えて、パリ在住の佐賀県出身の映画監督江口方康氏制作の映像展示も行います。
その他、さまざまな取り組みにより、肥前さが幕末維新博覧会のプレイベントとして、1867年のパリ万博に佐賀藩が参加したことの意義を発信します。
会期 | 2017年9月15日(金曜日)~11月12日(日曜日) |
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会場 | 特別展示室(御小書院)、外御書院 |
観覧料 | 無料 |
会場 佐賀城本丸歴史館 外御書院
講師 齊藤洋一氏(松戸市戸定歴史館長)
会場 佐賀城本丸歴史館 外御書院
講師 藤生京子(本館学芸員)
会場:佐賀県立佐賀城本丸歴史館 特別展示室(御小書院)
講師:藤生京子(本館学芸員)
江口方康氏プロフィール
1964年小城市牛津町生まれ。
オーストラリア、ロンドンで暮らした後、1990年にパリに移り住む。フランス国立高等映画学校ルイ・リュミエールで学んだ後、自らの会社を立ち上げ、ヨーロッパフランス語圏におけるCM、番組制作のコーディネーションを引き受ける傍ら、ドキュメンタリー映画の自主制作を続ける。
2003年カンヌ映画祭で出会った三池崇史監督の元で助監督も経験。
2008年制作監督第一作目の『ご縁玉』はドキュメンタリーとしては異例の劇場公開を果たす。日本全国30館の単館映画館で上映。その映像が高く評価され2008年度文部科学省選定(少年・青年・成人向き)。2009年度キネマ旬報ベストテン8位。
今年3本目の長編映画が完成。ドキュメンタリーとフィクションが交差する異色ロードムービーとして早くも注目を集め、7月に行われるマルセイユ国際映画祭の長編部門でコンペティションに選出。