佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

REPORT学芸員だより

水しぶきも勢いよく復活!-「ギットン」(水唐臼)修理完了-

2010年02月12日 その他

 佐賀県立博物館東側の「アラカシ広場」の奥に、「水唐臼」(みずからうす)を屋外展示しています。

 水唐臼は、磁器の原材料となる陶石を砕いて粉にするために使われた臼で、その音から「ギットン」と俗称されています。水槽の水がいっぱいになると、傾いて水を吐き出し、跳ね上がるときに、テコの反対側の杵頭が勢いよく臼の中の陶石を打ち砕く仕掛けになっています。
江戸時代には、窯焼き業者だけが納税して使用を許可されていましたが、明治期には製土業者も使用するようになりました。明治34(1901)年には県内で274基の水唐臼が稼働しており、その大部分が有田にありました。陶磁器の里ならではの風物詩として山里にのどかな音を響かせていた水唐臼は、現在では、機械化によりすっかり姿を消してしまいました。

 本館屋外展示の水唐臼は、昨年秋に故障していましたが、この日修理が済み、再び、「ジャー」(水が水槽に注がれる音)、「ギッー」(木のきしむ音)、「ザー」(水の落ちる音)、「トン」(杵頭が臼部に当たる音)という音をたてて、動き出しました。約30秒に1回のペースで動いているようです。
 昔の人々の知恵、「ギットン」の癒しの音、ゆっくりとした時間の流れを感じに「アラカシ広場」に来てみてください。

(浦川)

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