「武藤辰平-フランスの風-」展開会式 ~「色彩の画家」武藤辰平の生涯と画業の実像をたどる~
「武藤辰平―フランスの風―」展(文化庁「地域文化芸術振興プラン推進事業」)が、オープンしました。
武藤辰平(1894~1965)は、大正・昭和期に佐賀県の洋画壇で活躍した洋画家で、フランス留学の際に当時の新しい画風を学び、明るくやわらかな色彩感覚を開花させ、帰佐後、「色彩の画家」と賞賛されました。今回の展覧会では、武藤辰平の画業の初期からフランス留学期までの代表作、西洋絵画の模写など、油彩画・パステル画等を中心に計60点を展示しています。
11月19日に開催された開会式では、「武藤辰平―フランスの風―」実行委員会会長(佐賀県立美術館長)の挨拶、佐賀県文化団体協議会会長のご祝辞、テープカットの後、武藤辰平の三男武藤良平さんによる展示作品の解説が行われました。
武藤辰平は、ご遺族の言によれば「忘れられた画家」と呼ばれるそうです。それは「彼の生涯と画業の実像が、いまだ十分に明らかにされていないことに端を発している」と担当の野中学芸員は言います。
近年、佐賀市立図書館での「パリから佐賀へ 画家・武藤辰平の世界展」(2002年)、唐津市近代図書館での「色彩の画家 武藤辰平展」(2004年)、山口亮一旧宅での「色彩の画家 武藤辰平資料展」(2008年)など、武藤辰平の作品を紹介する展覧会が県内各所で開催されました。
今回の「武藤辰平―フランスの風―」展を開催するにあたり、野中学芸員は、武藤良平さんの協力を得て武藤家に残る古写真・絵葉書・遺品などを調査するとともに、改めて『日展史』『東京芸術大学百年史』『新郷土』等の文献を再検索し、武藤辰平の年譜を書き改め、充実させることができました。「彼の生涯と画業の実像」がかなり明確になってきたようです。
ポスターに使われた作品「フランス風景」(1933年)のように、明るく、やわらかで、瑞々しい色彩感覚を持つ「色彩の画家・武藤辰平」として、観覧者に「忘れられない」印象を残しているようです。
(浦川)