佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

REPORT学芸員だより

「金星の太陽面通過」全経過を観察!

2012年06月06日 イベント

 6時間以上かけて、ゆっくりと太陽の前を横切る金星のシルエット...。お昼頃に少し薄雲がかかったものの、全般的に好天に恵まれ、無事に全経過を観察していただくことができました。

 観察会場は博物館北側広場。屈折式望遠鏡1台を設置しました。通勤や通学、ジョギングやお散歩の途中の方々から、学校の授業として来てくださった近所の学校のみなさん、また、「ニュースで聞いて来ました!」「家で見ていたけれど見えなかったので来てみました。」「ツイッターで見ました。」と言ってくださった方まで、多くの皆様にお越しいただきました。

 今から400年以上前のこと、南太平洋の島、タヒチへと向かったキャプテン・クックの第1回目の航海の重要な目的は、この金星の太陽面通過(1679年6月3日)を観測することでした。世界各地の観測データを基に、地球から太陽までの正確な距離を求めようとしていたのです。1874年12月9日の金星の太陽面通過の際には、観測好適地であった日本にも3か国から観測隊が送られました。このうち、アメリカ隊とフランス隊が観測地に選んだのは、長崎県長崎市。それを記念して、金毘羅山頂上付近にはフランス隊の観測碑が建てられています。

 現代においては、この現象には太陽系の大きさを測るという目的はありません。しかし、今回、金星が太陽光の一部を遮ることによるわずかな減光を観測することで得られる情報は、今後の太陽系以外の惑星調査に生かされていくことでしょう。データの解析結果が楽しみです。

 これで、今年話題の天体ショーがまた1つ終わりました。5月21日の日食、6月4日の月食が悪天候のために十分な観察ができず、もしかして今回も...と、毎日何度も天気予報を確認しました。特に、入梅と台風の進路が心配でなりませんでした。

 今回、十分な観察ができたことを本当にうれしく思っています。見逃したら、105年後...ですからね。現象そのものの派手さはあまりありませんが、珍しさでいうと、超一級の天文ショーです。ご覧いただいたみなさまには、望遠鏡の「狭い視野」の中に広がる「広い宇宙」のドラマを感じていただけたのではないでしょうか。

 続いての天文ショー:「3つめの金」は、8月14日未明の「金星食」です。これは、金星の前を月が横切るために金星が隠れてしまう現象で、潜入開始(2時40分)から出現終了(3時26分)までの全経過を観察することができます。明るい金星は、肉眼でも簡単に見つけることができます。よろしければ覧ください。

(丹野佳代子)

金星日面通過第二接触直後
午前7時28分
観測中
午前 8時49分
観測中
午前 9時52分

観測中
午前11時58分
観測中
午後 12時44分
観測中
午後1時16分

「3つの金」第2弾「金星の太陽面通過」観察会を開催します

 今年注目の天文現象のキーワードは「3つの金」と言われています。1つ目の「金」は5月21日の「金環日食」、2つ目の「金」は6月6日の「金星の太陽面通過」、そして、3つ目の「金」は8月14日の「金星食」と続きます。

 6月6日の「金星の太陽面通過」は、金星が地球と太陽のちょうど間に入ることで、太陽の前を通過するように見える大変珍しい天文現象で、次回見られるのは105年後の2117年です。

 当日は、日本国内でこの現象の全経過を観察することができますが、日食同様、誤った方法での観察は失明する恐れもあり、危険を伴います。観察の際は、専用の遮光板や太陽メガネ、専用フィルター付きの望遠鏡などを使用し、事故が無いよう十分に注意する必要があります。

 そこで、県立博物館と県立宇宙科学館では、専用フィルター付き望遠鏡で「金星の太陽面通過」を安全に楽しむ観察会を下記のとおり開催します。

 多くの方の参加をお待ちしています。

1 開催日時及び会場

開催会場開催日時料金機材
佐賀県立博物館(佐賀市)
博物館北側広場
電話 0952-24-3947
平成24年6月6日(水曜日)
8時30分~13時50分

無料

移動式の小型望遠鏡
佐賀県立宇宙科学館(武雄市)
天文台
電話 0954-20-1666
平成24年6月6日(水曜日)
9時15分~13時50分
常設展観覧料が必要 天文台内の望遠鏡

※ 悪天候の場合は中止になることもあります。詳しくは各館へお問い合わせください。

2 内容

 (1)「金星の太陽面通過」のしくみの解説
 (2)望遠鏡での「金星の太陽面通過」の観察

【参考1】詳細については、次のホームページを覧ください。

 佐賀県立宇宙科学館《ゆめぎんが》ホームページ
http://www.yumeginga.jp/t_event/120606venus.php

【参考2】当日は、西与賀コミュニティセンター(佐賀市)、佐賀県立ろう学校(佐賀市)でも観察会が開催されます。

開催会場開催日時料金機材
西与賀コミュニティセンター
天文台
電話 0952-25-6320
平成24年6月6日(水曜日)
6時30分~13時50分
無料 天文台内の望遠鏡
佐賀県立ろう学校
駐車場
電話 0952-30-5368
平成24年6月6日(水曜日)
8時20分~13時50分
無料 移動式の小型望遠鏡