佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

REPORT学芸員だより

「第41回あらかしコンサート」を開催しました!

2019年10月04日 あらかしコンサート

921日(土曜日)、県立美術館ホールで「第41回あらかしコンサート」を開催しました!

今回は、美術館で開催中の「超写実展 リアルを越えた絵画」(914日~1110日)にちなみ、スペイン・フラメンコのコンサートでした。

出演は、福岡・佐賀を中心に踊り手として活躍し、フラメンコスタジオも主宰する市村美穂さんです。またゲストアーティストとして、東京より矢野佳子さん(唄)、関西より東勇人さん(ギター)という、フラメンコ界で全国的に活躍するお二方にもお越しいただき、迫力のステージが繰り広げられました。

コンサート冒頭を飾る曲は、重々しく悲しげな節回しが印象的な「ペテネーラス」。
伝説によると、この曲は多くの男性と浮名を流したという、ある女性の唄い手によって唄い始められたとのだとか。しかし彼女は嫉妬に狂った男の一人の手によってあえない最期を遂げ、そのため不吉な曲と噂され、近年まで公的にはほとんど演奏される機会がなかったといういわくつきの曲です。
張り詰めるような空気の中で踊る市村さんの姿は、とても神々しく見えました。

カンテ(唄)とギター、それぞれのソロナンバーもご披露いただきました。
フラメンコは、もともと南スペインのヒターノ(ジプシー)という人々に起源があり、彼らの音楽に現地の民謡やアラブ文化などが交じり合って生まれた音楽だと言われています。
少数民族として法の保護外に置かれ、激しい差別や迫害を受けていた彼らの「魂の叫び」(ケヒーオ)でもあるカンテ、生の喜びや悲哀を力強くかき鳴らすギターの音色。お二人の奏でる、もの悲しくも美しい調べと唄声が、会場を魅了します。

後半の曲のひとつ、セビジャーナスは、市村さんいわく「スペインの盆踊り」。アンダルシアの春祭りでも踊られる、現地では誰もが知っていて踊ることのできるとても有名な曲なのだそう。
踊り手として、市村さんのフラメンコスタジオ「パタチェ・デ・フラメンコ」の生徒さんたちが登場し、ひときわ華やかなステージとなりました。

最後は、「喜び」を意味する華やかな曲「アレグリアス」を経て、出演者全員で速いテンポの中に気高さと祝祭性がこもった曲「ブレリアス」をご披露いただき、フィナーレとなりました。
熱のこもったステージに、会場からは、今日一番の大きな拍手が寄せられました。



市村さん、矢野さん、東さん、そして「パタチェ・デ・フラメンコ」の皆様、素晴らしい踊りと唄、演奏をありがとうございました!

台風の影響が心配された中でしたが、会場には約400名という大変多くのお客様がお越しくださいました。
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

現在、「超写実展 リアルを越えた絵画」では、現代スペインを代表する写実絵画を多数展示しています。こちらもぜひ、お楽しみくださいね。

次回のあらかしコンサートは、2020125日(土曜日)、会場は佐賀県立美術館ホールを予定しています。
ぜひご参加ください!