久留米市美術館で、当館所蔵の岡田三郎助作品が展示されています!
久留米市美術館(福岡県久留米市)でただいま開催中の展覧会、「白馬のゆくえ」。
この展覧会に、当館所蔵の岡田三郎助作品、《花野》と《桃の林(大石田横山村)》の2点を貸与しており、現在、同館で展示されています!
「白馬のゆくえ」展は、明治から昭和にかけて活躍した香川県出身の洋画家、小林萬吾(こばやしまんご)の軌跡を中心に、彼とともに時代を駆け抜けた個性豊かな洋画家たちの作品とともに、日本近代洋画のあゆみを照らし出した展覧会です。
洋画団体「白馬会」などを通じて小林と親しく付き合った画家のひとりに、岡田三郎助もいました。
1893(明治26)年、のちに「日本近代洋画の父」と呼ばれる洋画家である黒田清輝が、留学先のフランスから、それまでの日本の洋画にはなかった明るい外光表現を携えて帰国しました。彼のもとに岡田と小林も集い、ともに競い合いながら日本洋画の新しい時代を切り開いたのです。
《花野》(当館蔵、佐賀県重要文化財)は岡田1917(大正6)年の作。
柔らかな外光の表現、植物と人物という取り合わせなどに、黒田清輝が旗揚げし、岡田と小林がともに所属していた「白馬会」の特徴が表れています。
「野外で草の上に横になる裸婦」という画題は、本作が描かれた前年に亡くなった、黒田と岡田のフランス留学時代の師、ラファエル・コランが最も得意としていた画題の一つでした。
(※展示室内の写真はすべて久留米市美術館より撮影・掲載許可済みです)
《桃の林(大石田横山村)》は、現在の山形県北村山郡大石田町に広がる桃林の風景を描いた作品です。
小林萬吾とともにこの地を訪ねた岡田は、桜やスモモ、林檎、梨などの果樹園が広がるこの村をたいへん気に入り、何度かスケッチ旅行で訪れることとなります。
岡田にしては絵の具を厚塗りに使っており、その闊達でのびやかな筆致は、のどかで豊かなこの山里への讃歌そのものであるようです。
岡田三郎助や小林萬吾のほかにも、黒田清輝、久米桂一郎、和田英作、青木繁、藤島武二、安井曾太郎、児島虎次郎、藤田嗣治など、日本近代洋画史を彩ってきた錚々たる画家たちの名品が紹介されている「白馬のゆくえ」展。
当館の日本近代洋画の常設展示室OKADA-ROOMとも通じる、日本洋画の豊かな光芒を感じることができる展覧会です。
会期は今月の8月23日(日曜日)まで。ぜひご覧ください!
おまけ...久留米市美術館(石橋文化センター)は、外の庭園もとても美しいですよ!
(文責:学芸課 秋山沙也子)