佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

REPORT学芸員だより

ミュージアムキャラバン隊「教えて!岡田先生!黒田先生!-岡田三郎助と黒田清輝の名画がやってくる!-」を開催しました!

2021年07月28日 

7月12日と14日の2日間、県内の学校に在籍する生徒と先生を対象とした「ミュージアムキャラバン隊」を開催しました。

ミュージアムキャラバン隊では、博物館・美術館の学芸員が館蔵の資料・美術品を持って県内の学校を訪問し、本物の資料を目の前にして授業を行います。
博物館・美術館を身近に感じてもらうこと、歴史や芸術文化に直接触れ、興味を持つきっかけとなることを期待しています。

今回のプログラムは、「教えて!岡田先生!黒田先生!-岡田三郎助と黒田清輝の名画がやってくる!-」と題し、
日本近代洋画をリードした岡田三郎助と黒田清輝の名画とともに、小中学校4校に訪問してきました。

今回は油絵を4点持参しました。

美術品を運び、展示するのは日本通運のお二方。
特別な講習を受けた専門の方しか、大切な美術品を運搬・展示することはできません。
4点のうち1点は、実際に梱包を開くところから展示するところまで、実際に生徒のみなさんに見ていただきました。

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作品がきれいに見えるように高さや幅をきっちり測って飾るのも僕たちの仕事です、
と日本通運さんのコメント。
実際に美術館で行われる展覧会の準備でも、何十点、何百点という美術品をこうやってひとつひとつ丁寧に取り出し、配置していきます。
美術品がみなさんの前にお目見えするまでには、色々な人が関わっているのだということがわかります。

飾られた4つの作品を見ながら、まずは絵の値段をみんなで当ててみます。
何百万、何千万、何億...
大きさや色や描かれたものを頼りに、値段を予想する生徒さんたち。
一番高価なのはどれでしょうか?

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次は絵を近くで見てみます。
本物の美術品を、ガラス越しではなくこんなに近くで見ることができる機会はなかなかありません。
じっくり絵を観察しています。
絵の表面、使われている色など、どんなふうに描かれているでしょうか。
遠くからでは見えないものがよく見えているはずです。

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普段は絶対に見ることができない絵の裏側もお披露目。
みなさん興味津々です。

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近くでじっくり観察した後は、作家と絵の背景(歴史)に迫ります。
資料として残されている黒田清輝の日記と手紙をみんなで読んでみます。
読んでみると、作家がどんな時代に生きていたのか、絵に描かれているものは何なのかがわかってきます。

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絵をじっくりと観察し、絵や作家に関する資料を調べ、絵にまつわる物語や隠された秘密を解き明かし、
解き明かされた歴史や背景をみなさんに伝えていく。
この「調査・研究」も学芸員の大切な仕事のひとつです。

学芸員と呼ばれる人たちはどんな仕事をしているのか、ということも、
この授業をきっかけに少しでも知っていただけたら嬉しいです。

数校では、美術品を運ぶ専用のトラックの中もご紹介しました。
美術品を大切に運ぶため、中には温度を一定に保つための空調がついていたり、運転時の振動を減らすことができる特別なつくりになっています。

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短い時間ではありましたが、本物の美術品にじっくりと触れることができたのはもちろん、普段は見ることができない博物館・美術館の裏側もお伝えできたのではないでしょうか。
参加していただいたみなさんにとって、有意義な時間になっていれば幸いです。

今回のプログラムで訪問させていただいた学校は以下の4校です。

●鹿島市立浜小学校 6年生(7月12日)
●佐賀県立武雄青陵中学校 1年生(7月12日)
●神埼市立西郷小学校 5年生、6年生(7月14日)
●佐賀龍谷学園龍谷中学校 1年生、2年生、3年生(7月14日)


授業にご参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました!

                                                                              (文責:学芸課職員 浦芙美)