佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

REPORT学芸員だより

久留米市美術館「九州洋画Ⅱ:大地の力-Black Spirytus」で、当館蔵の御厨純一作品が展示されています!

2021年11月22日 その他

現在、久留米市美術館で開催中の特別展「九州洋画II:大地の力-Black Spirytus」。
この展覧会に、当館所蔵の御厨純一作品《髪を梳く》を貸与し、現在、同館で展示されています!

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当館の特別展「白馬、翔びたつ ー黒田清輝と岡田三郎助ー」でもご紹介したとおり、明治の日本洋画の基礎は、百武兼行(佐賀)や黒田清輝(鹿児島)、岡田三郎助(佐賀)、藤島武二(鹿児島)などなど、九州出身の画家たちがその一翼を担ってきました。
この展覧会は、そこから枝葉を伸ばし広がった日本洋画史と共に、九州という土地の風土や文化に根差し、力強い独自の表現を切り拓いてきた画家たちの作品を、大地の色や手触り、神話や土着性などのキーワードを通じて紹介しています。
「白馬、翔びたつ ー黒田清輝と岡田三郎助ー」の会期中は、半券提示による相互割引を実施していましたが(※久留米市美術館での割引サービスは同展会期終了時まで有効)、「白馬ー」と「九州洋画II」をどちらもご鑑賞いただくことで、いわば日本近代洋画「A面」と「B面」の両方を知っていただけれるような、大変魅力的な展観になっています。

今回、同展にお貸出ししている、御厨純一の作品《髪を梳く》は、女性の当時の生活のひとこまを描いた作品です。丁寧に髪に櫛を通していく女性の手先や、その手に触れられる豊かな黒髪、静かに支度を待つ座る女性の横顔などが、緻密な描写と迫真的なリアリティを持って描かれています。展覧会の章タイトル「手ざわりの視覚化」という言葉の通り、まさにそれぞれの手触りが伝わってきそうな精細な筆さばきです。
ぜひ展示室で、細部の描写までじっくりご堪能いただきたい作品です。

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「ブラック・スピリタス」展 展示風景1

展示室の中には、他にも魅力的な作品が大集結しています。
もちろん、佐賀を代表する画家たちの作品も沢山!
百武兼行や岡田三郎助はもちろん、御厨と同じ世代の画家である北島浅一や山口亮一、伊万里出身で戦後前衛美術の旗手として活躍した池田龍雄、そして現代の池田学まで、錚々たる画家たちの代表作が一堂に会しています。

「九州洋画II:大地の力」展 展示風景2

「九州洋画II:大地の力」展 展示風景1

「九州洋画II:大地の力」展 展示風景3

「九州洋画II:大地の力」展 展示風景4

また、同展覧会の図録に、当館学芸員がコラムを寄稿しています。
展覧会をご覧の際は、ぜひ図録もお買い求めくださいね。

ほとばしるエネルギー、力強い筆触、千変万化の表現を楽しむことのできる渾身の展覧会です。
会期は12月12日(日曜日)まで。ぜひお見逃しなくご覧ください!

久留米市美術館 開館5周年記念展「九州洋画II:大地の力-Black Spirytus」展覧会公式ページ(久留米市美術館のページにリンクします)