佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

REPORT学芸員だより

まだ間に合う!?テーマ展「親の心、子知らずー佐賀先人たちの手紙ー」

2024年01月24日 

 現在博物館では、テーマ展「親の心、子知らず―佐賀先人たちの手紙―」を開催中です。
 本テーマ展では、 佐賀にゆかりのある龍造寺隆信や副島種臣、佐野常民などの歴史上に名の残る人物の手紙を紹介することで、公文書とは異なる一面を感じていただけます。「親の心は子知らずと申して、人の心は知り難し」(『義経記』)と武蔵坊弁慶(源義経の従者)が述べていますが、公文書には表れてこない、個人の手紙からは、書いた人の親心や、親しい人に見せていた一面をうかがうことができます。

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展示の一部を紹介します。
1.親子の手紙
 佐賀藩10代藩主の鍋島直正が長女みつひめに宛てた手紙には「爺がいらぬこと」や「さぞさぞお貢心配の処」などと記入し、しつこく言って娘の機嫌が悪くなるのは分かっているけれど心配で言わずにはおられない父の想いが感じられます。

2.友人の手紙
 友人へ自身の息子の困った行動を「私留守に相成りそうらえば関白やりて(私が留守にしている間に横暴な行動をする)」などとこぼしています。このように息子に手を焼いている父親は誰なのか、考えることもおもしろい展示となっています。

3.夫婦の手紙
  豊臣秀吉が朝鮮出兵のために肥前名護屋城に在陣していた際の妻おね(北政所)からの手紙に対する返信(表書きに「おね返事」とあるため)が残っています。追伸にはこの手紙が病みあがりに初めて書く手紙ですと書かれており、「人らしい」秀吉の心遣いが読みとれます。

みりょくPoint!
 本紙の「釈文」と「現代語訳」、「書いた人のキャプション」があります!
 本テーマ展は、古文書好きの方には手紙そのものを読んで、楽しんでいただけます。しかし、「古文書は見ても分からない」と不安を持っている方にも楽しんでいただけるように、「現代語訳」したもの、書いた人と古文書の親心などの見どころを記載した「キャプション」を展示品の近くに配置しています!

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ギャラリートーク&ワークショップを開催!
 ギャラリートークでは展示室で展示品を見ながら、学芸員からキャプションには書かれていない話など、ここでしか聞けない話を聴くことができます。
 本テーマ展が「手紙」に関することから、名尾手すき和紙のハガキに書いてみるワークショップを開催しています。この機会に親や身近な人に近況報告や、日々の感謝の気持ちを伝えているのかを今一度振り返ってみませんか?

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