令和6年度のミュージアム・アートキャラバン隊で学校訪問を行いました。
作品を保護する梱包資材を見学
突然ですが、みなさんが小学生や中学生、高校生の頃に将来就きたいと考えていた職業は何ですか?スポーツ選手や宇宙飛行士、芸術家など様々な職業を思い浮かべられた経験があるのではないでしょうか。
ミュージアム・アートキャラバン隊は、「近くでみよう、ホンモノの美術作品」と題して、美術館が所蔵している絵画や彫刻作品を美術館から学校へ運搬して、学芸員が鑑賞のポイントを児童や生徒に向けて解説しながら美術作品の魅力を分かりやすくお伝えする授業です。その内一部の作品については、触れる時間を設けて、視覚や聴覚、触覚を使いながら作品鑑賞をすることもできます。また、このキャラバン隊は、作品鑑賞の時間に合わせて、当館の学芸員や美術品輸送業者といった様々な職業の職員が、それぞれの仕事に関する話を織り交ぜながら、授業を行うのも特徴の1つです。
作品をじっくり見学 見学時には唾が飛ばないよう注意...
令和6年度は、9月から12月にかけて以下の9校に訪問しました。
・伊万里市立山代西小学校(5年生・6年生)
・唐津市立北波多小学校(3年生)
・佐賀市立西与賀小学校(4年生)
・佐賀県立大和特別支援学校(高等部2年生)
・白石町立白石小学校(5年生・6年生)
・武雄市立北方中学校(3年生)
・嬉野市立大草野小学校(4年生・5年生)
・唐津市立打上小学校(4年生・5年生・6年生)
・唐津市立名護屋小学校(5年生・6年生)
近くでみよう、ホンモノの美術作品
学芸員による作品解説
授業では、普段は美術館のケースの中に展示されている油絵や日本画・版画・彫刻作品等を間近に見ながら、学芸員の解説の下「自分が好きな絵・彫刻はどれか」「使われている素材は何か」「用いられている色は何色か」「絵画や彫刻のモデルは何か」など様々な視点で作品を鑑賞行います。
何を用いて描かれているだろうか...
作品は何でできているだろう...
今回の授業を受講した児童や生徒からは、「淡い色合いが好きだった。」「遠くで見ていたら立体的に見えていたが、近くで見たら平面で驚いた」(野村昭嘉《雲の製造I》)「色の違いで、光が当たっている所が分かっておもしろかった」(山口亮一《出湯の宿》)「直線だけで描かれているところが好きだった」(ベルナール・ビュッフェ《ふくろう》)「まつ毛1本1本が細かく描かれていて驚いた」(立石春美《櫛》)などの感想があり、どの学校でも日常とは少し違った授業である為、当初少し緊張気味だった児童・生徒も、クラスメイトの感想を受けて、授業の途中からは、和やかな雰囲気の中自らの感想や意見を言葉にして言いあうことができる時間となっていました。
普段は見られない作品の裏側を見学
鑑賞後には多くの感想がありました!
様々な"しごと"について
今回、各学校に美術作品を運搬するにあたっては、美術品専用車両に積載して専門の職員が運搬しました。授業では作品の開梱・梱包作業の様子も公開し、授業によっては、児童も一緒に美術品輸送業者の職員と学芸員と共に開梱作業や展示作業を体験しました。
箱の中には作品を保護する工夫が満載
作品を安全に取扱うためには...?
展示した作品は傾いていないか確認
授業では、学芸員や美術品輸送業者とはどのような職業なのか、また博物館や美術館には学芸員の他にも、施設を運営する仕事をする職員や受付職員、司書、清掃員、警備員など様々な人々が働いており、それぞれが役割を担うことで施設が円滑に運営される事、また展覧会の裏側では、学芸員と共に美術品輸送業者といった、館外の職員が共に働き、目的を達成させる事などについて話をしました。児童からは、学芸員や美術品輸送業者に向けて「何歳になったら働けますか」、「保育士になりたかったけれど学芸員もおもしろそう」「どうやったらその仕事に就けますか」といった質問や感想があり、これから進路を考える児童や生徒にとって、今回授業が「仕事」というものについても考える一助となれば幸いです。
絵画裏面の状態確認 美術品輸送業者による仕事の話
令和6年度ミュージアム・アートキャラバン隊に御参加をいただいた皆様、ありがとうございました。
博物館や美術館への御来館も職員一同お待ちしております!