テーマ展「小川敬吉資料展 -朝鮮総督府の文化財調査官が遺したもの-」
※この展覧会は終了しています。
本展覧会では、戦前の朝鮮半島で文化財調査に携わった小川敬吉(おがわ・けいきち)の資料を一堂にご紹介します。
小川敬吉(1882-1950年)は、朝鮮総督府の技手(技官)として古墳や古建築の調査に携わった人物で、そのときに使用した図面や写真、野帳等が現在でも残されています。
朝鮮半島における文化財調査については、20世紀初頭から日本人研究者によって本格的に始められ、終戦に至るまで40年にわたって継続されました。小川敬吉も、平壌や慶州などの古墳の発掘調査や各地の石造物・古建築の調査に携わったほか、修徳寺大雄殿(忠清南道所在)などの仏教建築の修理も担当しています。
近年、日韓両国の研究機関によって、当時の文化財調査に関する資料の公開・研究が進められ、小川敬吉の記録も他に例のない歴史資料として注目を集めています。本展覧会では、本館そして他の機関等に所蔵される小川敬吉の資料を一堂にご紹介し、当時の朝鮮半島における文化財保護の活動をたどります。本展覧会が日韓両国の貴重な文化財への理解を促進するとともに、今後の学術・文化交流発展の一助となれば幸いです。
展覧会の概要
1 会 期 平成28年1月29日(金曜日)~3月21日(月曜日・休日)
※会期53日間、休館日:毎週月曜日(ただし3月21日は開館)
2 会 場 佐賀県立名護屋城博物館 企画展示室
3 主 催 佐賀県立名護屋城博物館
4 展示点数 約120点
5 展示構成
(1)小川敬吉がみた朝鮮半島
(2)小川敬吉とは
(3)古蹟調査と小川敬吉
(4)古建築の修理と小川敬吉
(5)その後の小川敬吉
(6)近年の学術交流と小川敬吉資料
6 観覧料 無料
7 出品協力 京都大学大学院工学研究科建築学専攻、九州大学附属図書館、佐賀県立図書館 ほか
8 写真協力 修徳寺(大韓民国)、華厳寺(大韓民国)、大韓民国国立中央博物館、
東京大学総合研究博物館
関連行事
「小川敬吉資料展」展示解説
日時:1月31日(日曜日)、2月21日(日曜日)、3月20日(日曜日)
いずれも15時から40分程度
参加費:無料、事前申込不要
小川敬吉の略歴
- 明治15(1882)年、福岡県築上郡宇留津村(現・築上町宇留津)に生まれる。
- 工手学校(現・工学院大学)で建築を学んだのち、内務省に勤務し古建築の測量や調査に従事。大正5(1916)年から朝鮮総督府の文化財職員として勤務。昭和19(1944)年に退職し帰郷。戦後は八津田村長も務めた。
- 発掘調査では、小川敬吉をはじめとする建築専攻者が参加したことによって、測量や製図の精度が大きく向上する契機となっている。また、石塔や古建築の調査とともに寺院建築の保存事務や修理も担当しており、とくに修徳寺大雄殿の修理工事では補助金関係の事務や関係部署との折衝、施工監督等など全体統括者として重要な立場にあった。
- 終戦まで総督府に勤務した職員は引き揚げ時にほとんどの記録を現地に残しており、失われたものも少なくない。文化財に関する資料については、近年韓国の研究者による調査・公開が始まっており、とりわけ古建築修理の分野でまとまったものとしては小川敬吉の資料の他には例がなく、貴重な記録として評価されている。