企画展 語り継がれる名護屋城
※この展覧会は終了しています。
名護屋城跡の写真絵はがき(大正~昭和初期)
豊臣秀吉による大陸侵攻(文禄・慶長の役)の出兵拠点として築かれた名護屋城。
戦争の終結とともにその役目を終えたものの、江戸時代以降は、戦いの「記憶」を語り継ぐ存在として、新たな歴史を刻み始めました。
江戸時代の武家社会では、先祖の武功がゆかりの品々とともに語り継がれ、庶民の間では「太閤記」や虎退治の逸話を通して戦いの「記憶」が広まっていきました。
それらを介して存在を記憶されてきた名護屋城は、大正・昭和初期になると、大陸への視線も含みながら、新たに観光地としての姿を見せていくことになります。
本展覧会では、廃城後の様子を記した史料や地元に伝わる関連史料も御紹介しながら、400年にわたって名護屋城が語り継がれた歩みを振り返ります。
会期 | 2017年9月22日(金曜日)~11月5日(日曜日) |
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休館日 | 毎週月曜日(ただし、10月9日は開館、10月10日は休館) |
会場 | 佐賀県立名護屋城博物館 企画展示室(2階) |
点数 | 約90点 ※会期中展示替えを行います。あらかじめご了承ください。 |
観覧料 | 無料 |
主催 | 佐賀県立名護屋城博物館 |
後援 | 唐津市、唐津市教育委員会、玄海町、玄海町教育委員会、一般社団法人唐津観光協会 |
展示構成
遺跡になった名護屋城
古記録や江戸時代の紀行文などから廃城となった名護屋城の様子をたどります。
~江戸時代の名護屋城跡を描く~
肥前名護屋城諸侯陣跡之図 江戸時代後期、本館蔵
~名護屋城跡の番所に関する記録~
名護屋組文書・御用記録
1846年、九州大学附属図書館付設記録資料館九州文化史資料部門蔵
いくさの「記憶」
江戸時代の武家社会において、文禄・慶長の役に関するさまざまな武功が家の歴史として語られたことを関連する史料を通してご紹介します。
~黒田長政の活躍が語り継がれる激戦を描く~
蔚山城攻城図屏風 1886年頃、福岡市博物館蔵
~立花家で代々大切にされてきた秀吉からの手紙~
重要文化財 立花宗茂あて豊臣秀吉朱印状
1593年、公益財団法人立花財団立花家史料館蔵、柳川古文書館寄託
注目の展示資料
~戦場における立花宗茂と家臣との「絆」を象徴する~
黒漆塗本小札藍韋威大袖
室町時代、公益財団法人立花財団立花家史料館蔵
展示期間 9月22日~10月15日
この鎧の袖については、文禄の役における激戦の一つである「碧蹄館の戦い」において、立花宗茂の家臣・小野喜八郎が自身の袖を切って戦場に向かおうとしたため、それを不憫に感じた宗茂が自身の鎧の袖を与え、傍らにいた小田部新介が代わりに自らの袖を宗茂に献上した、というエピソードが残されており、今回ご紹介する「黒漆塗本小札藍韋威大袖」は、この宗茂へ献上された袖と伝えられています。
これまでは伝承の一つとみられてきましたが、今年8月末、小野家ゆかりの品のから、このエピソードに符合するような金箔をほどこした豪華な袖が見つかったことが明らかになり、大変話題になっています。
本展では、伝来のエピソードについて記した「文政五年御武道具御改帳」(立花家史料館蔵・柳川古文書館寄託)もあわせて展示します。ぜひ、この機会にご覧ください。
文禄・慶長の役を語る
江戸時代に人気を博した太閤記物や錦絵をとおして、庶民の間で広まった文禄・慶長の役に対するイメージを探ります。
~「絵本太閤記」の絵師が描く理想の秀吉像~
岡田玉山筆 豊臣秀吉画像 江戸時代後期、大阪城天守閣蔵
~加藤清正の有名な武勇伝~
正清猛虎討取図 月岡芳年画、江戸時代後期、名古屋市秀吉清正記念館蔵
展示期間 10月17日~11月5日
~加藤清正が討ち取ったと伝わる~
虎顎(あご)骨 桃山時代、名古屋市秀吉清正記念館蔵
よみがえる名護屋城
20世紀を迎えるころから再び名護屋城跡が注目されるようになった様子を当時の史料から概観します。
~100年前の名護屋城跡~
名護屋城跡写真絵葉書 大正~昭和初期、本館蔵
~城跡見学のお土産~
広沢寺蘇鉄の図 20世紀初頭、本館蔵
このほか、地元に伝わる文禄・慶長の役ゆかりの品や秀吉伝説、そして30年におよぶ保存整備事業の概要もご紹介します。
関連イベント
記念講演会
テーマ:「朝鮮の役の城と近代ー倭城と名護屋城ー」
講師:太田秀春氏(鹿児島国際大学国際文化学部教授)
日時:2017年10月8日(日曜日) 13時30分~15時
会場:本館ホール
備考:聴講無料、ただし事前申込み不要(13時より受付)
学芸員と行く肥前名護屋ヒストリーツアー
内容:文禄・慶長の役や本展覧会に関わる近隣の見どころをご案内します。
※予定:徳川家康陣跡(鎮西町名護屋)、島津義弘陣跡(鎮西町波戸)、田島神社(呼子町加部島)など
日時:2017年10月29日(日曜日) 10時30分~15時30分
参加料:無料
定員:30名程度
集合場所:本館エントランス(集合後、バスで移動します)
お申込み方法等:事前申込みが必要です。8月29日(火曜日)から電話等にて受け付けます。
※定員に達しましたので締切りました(10月3日)
備考:各自で軽食を持参ください(昼食用)。
荒天時は内容を短縮するなどの変更をして実施する予定です。
展示解説
学芸員による展示解説を行います。
参加無料、各40分程度です。
実施日:9月24日(日曜日)、10月15日(日曜日)、10月22日(日曜日)、
11月4日(土曜日)、11月5日(日曜日)
展覧会のチラシ
展示図録
A4版96頁 頒布価格1000円