佐賀・日本画の眺望 ―池田幸太郎・野口謙次郎・立石春美―
※この展覧会は終了しています。
今回のコレクション展は、佐賀に生まれ、近~現代に活躍をした三人の日本画家を紹介します。佐賀県は岡田三郎助をはじめとした洋画家たちの名がよく知られていますが、日本画においてもすぐれて個性的な画家が誕生しています。
池田幸太郎(1895~1976)は岡田三郎助が主宰する本郷洋画研究所で人体デッサンを学び、後に抒情的な東京風景を描き帝展に出品、高く評価されました。野口謙次郎(1898~1947)は塩田町出身で東京美術学校に学び、風景画を得意としました。昭和9年の帝展で特選を受けた実力派です。立石春美(1908~1994)は美人画の大家・伊東深水に師事し、日本の正統的な美人画の流れを汲んだ「最後の美人画家」と称されます。その清楚で美しい画風は、現在も高い人気を誇っています。
美術館所蔵のコレクションから、代表作、名品を展示します。久しぶりの日本画の特集です。どうぞじっくり御鑑賞ください。
会期 |
2020年6月9日(火曜日)~7月5日(日曜日) |
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休館日 | 毎週月曜日 |
開館時間 | 9時30分~18時 |
会場 | 佐賀県立美術館 2号展示室 |
観覧料 | 無料 |
池田幸太郎《三宅坂付近》1930(昭和5)年、館蔵
野口謙次郎《春渓図》制作年不詳、館蔵
立石春美《伽羅》昭和20年代か、館蔵
池田幸太郎 いけだ・こうたろう 1895(明治28)~1976(昭和51)
佐賀郡川上に生まれる。大正2年佐賀中学校卒業。
同年上京、川端画学校に通い結城素明の指導を受ける。同5年東京美術学校の日本画科に入学。選科に鍋島紀雄がいた。同10年美校卒業。在学中から本郷洋画研究所に通い、人体デッサンを学ぶ。
同14年第6回帝展に初入選。昭和8年頃までに主に東京風景を描き、この後官展出品を止める。
同12年帝国女子専門学校(現相模女子短大)の講師となる。同25年以降外房、日光、箱根等に写生旅行をする。同38年から49年まで日本画府に属した。
野口謙次郎 のぐち・けんじろう 1898(明治31)~1947(昭和22)
佐賀県塩田町五町田に生まれる。父は旧蓮池藩士野口孫右衛門の子末一。
旧制佐賀県立鹿島中学校を卒業、塩田小学校の代用教員をつとめた後、東京美術学校へ進み、大正12年日本画科を卒業。在学中の同10年帝展に初入選をはたす。小堀鞆音に師事し、さらに松岡映丘、結城素明の画風に親しみ風景画を得意とした。
紀州熊野路、信州天竜峡、会津磐梯山、青森十和田湖、北海道層雲峡、阿寒湖など国内の名勝の地を歩き写生を続けた。昭和9年15回帝展で特選を受けた。
立石春美 たていし・はるみ 1908(明治41)~1994(平成8)
佐賀郡大和町に生まれる。昭和3年伊東深水に師事。同6年第12回帝展に初入選。同21年第1回日展、同26年第7回日展で特選・朝倉賞受賞。日展審査員、評議員、参与等をつとめた。日本の正統的な美人画を継承しつつ、簡潔、清楚な画風の美人画を描いた。「最後の美人画家」と称される。