佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

EXHIBITION展示案内

民俗

博物館3階 大展示室

 この展示室では、佐賀県内の民具(有形民俗文化財)を中心に紹介しています。かつて人々が、それぞれの場所で、それぞれの立場で、日常生活の中で使用してきたものばかりです。

 民具は、去りゆくもの、ただ懐かしいものではありません。そこには人々の暮らした環境や、それらを生み出した人たちの知恵や工夫など、多くの情報が反映されています。

 生活の歴史を刻んで、大多数の人々にとって一番大切なもの、そんな民具がいっぱいです。

展示項目と主な展示資料

F 佐賀の民俗

1 すまいとくらし (1)佐賀の民家 クド造り民家模型、ジョウゴ造り民家模型、屋根葺き道具

(2)くらしの道具

車長持、水屋箪笥、遠州行灯、鏡台、針箱、置きランプ
2 有明海と玄界 (1)有明海の漁撈 有明海漁撈用具一式(国指定重要有形民俗文化財)、北前型弁才船模型(奉納船)
(2)玄界のくじらとり 玄界捕鯨用具一式(捕鯨砲・鯨解体用具など)、鯨船模型(勢子船・双海船・持双船)
3 佐賀の農業 (1)佐賀平野の成り立ちと農具 風呂鍬、水田鍬、延犂、塊返犂、ゴミクイ桶、俵締め木
(2)農と祭り 四季耕作図絵馬、民俗芸能写真パネル
4 仕事と農具 (1)山のくらし 木挽き鋸、根切り斧、木馬、松・杉の皮はぎ、カンジキ
(2)手漉き和紙 蒸し桶、釜、漉き槽、竹簀、簀桁、干し板、和紙切り包丁
(3)大甕づくり 大甕づくり用具一式(叩き用具など)、韓国の製陶用具(叩き用具など)
(4)肥前の製薬 製薬用具一式(サギリ・ヤゲン・キヌブルイなど)、配置売薬用具(ヤタテ・リンバカリなど)
※佐賀県民俗地図(写真パネルで国・県指定の民俗文化財を紹介)

※主な展示資料は、展示替えにより展示していないこともあります。

展示資料ダイジェスト

佐賀平野の民家(クド造り民家・ジョウゴ造り民家模型)

クド造り民家模型
ジョウゴ造り民家模型

 「クド造り」(写真上)及び「ジョウゴ造り」(写真下)は、佐賀を代表する伝統的民家の形態です。

 クド造り民家は、有明海側の「有明粘土層」と呼ばれる軟弱地盤地域に広く分布しています。梁の間や桁行が短いため柱の数が多く、各柱が碁盤の目状に配置することで屋根の重さが均等に分散されます。民家の不同沈下を最小限に抑えるための建築工法です。

 筑後川下流域にのみ分布するジョウゴ造り民家は、屋根の中央に雨水を集め、屋内の雨樋を通して排出する特徴的な構造をしています。

有明海漁撈用具(重要有形民俗文化財)

有明海漁撈用具一式

 有明海は、潮の干満の差が最大6メートル(日本最大)で、満潮時でも最深部が20メートル程度にしかならず、干潮時の干潟が湾奥部で約7km(国内干潟面積の約42%)にも及びます。そのため、有明海には国内外で唯一生息する魚介類が多く、それに伴う独特の漁法や漁撈用具が伝えられてきました。

佐賀平野の農具(佐賀県重要有形民俗文化財)

佐賀平野の農具

 佐賀平野は、有明海(干潟)の干拓・開墾を繰り返すことで造成された水田地帯です。土壌は「有明粘土」と呼ばれ、農業用水はクリーク(人工的な水路)で確保されてきました。独特の農地環境は、農具の種類や形に反映され、特有のスタイルを生み出しました。

北前型弁才船模型(1/10奉納船)

北前型弁才船模型

 大堂神社(佐賀市諸富町)に奉納されたもので、全長30メートル程度・積載重量1200石(180トン)の「千石船」と呼ばれる廻船の1/10模型です(明治19(1886)年製作)。同社は有明海にそそぐ筑後川を河口から9キロメートルほどさかのぼった諸富港に近い場所にあり、筑後川-有明海の海運を物語る貴重な資料です。

※ここに紹介している資料でも、展示替えにより展示していないこともあります。