コレクション展 日下八光 -装飾古墳の記録-
※この展覧会は終了しています。
日本画家である日下八光(くさか・はっこう)は、徳島県に生まれました。大正13年に東京美術学校(現東京藝術大学)の日本画科卒業を卒業し、昭和19年同校助教授、昭和20年教授に就任し、以後、昭和42年に東京芸術大学を退官するまで同大学で教鞭を取りました。
日下は文化庁(当時の文化財保護委員会)から委嘱され、全国各地にある古墳時代の装飾古墳壁画の現状を模写しました。国内にある装飾古墳の壁画は、描かれて千数百年の年月が流れ、壁面の劣化が進むだけでなく、日光や石室内に染み出す水等の影響で文様が不鮮明なものが数多くあります。このため、日下は装飾古墳壁画の現状を記録するだけでなく、壁画が描かれた当時の姿に近い形での再現に成功しました。
大正年間にその存在が知られた鳥栖市田代太田古墳の石室には、船や馬、人物などの絵画のほか、同心円文や三角文等の文様が描かれています。他の装飾古墳同様、実際の壁画の文様は劣化が進み判別しづらいのですが、日下の仕事により古墳時代の原始絵画が現代に生き生きと甦っています。
今回、田代太田古墳の装飾古墳の現状の模写図と復元模写図を同時に並べ、日下の観察眼の下、現代によみがえった装飾古墳の文様をご覧いただきます。また、比較資料として、日下が描かれた福岡県王塚古墳の壁画も合わせ展示します。日下の文化財に対する鑑識眼を感じていただければ幸いです。
会期 |
2020年3月28日(土曜日)~6月14日(日曜日) |
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休館日 |
毎週月曜日 |
開館時間 | 9時30分~18時 |
会場 | 佐賀県立博物館 3号展示室 |
観覧料 | 無料 |
出品作品 |
一、染付秋草図大皿(日下八光絵付け) 1点 |
鳥栖市田代太田古墳後室奥壁画復元模写図(日下八光筆) 佐賀県立博物館蔵
日下八光(くさか・はっこう) 1899(明治32)~1996(平成8)
日本画家。明治32(1899)年徳島県生まれ。平成8(1996)年没。本名喜一郎。
大正13年東京美術学校日本画科卒業、大正15年同研究科を修了。昭和19年同校助教授、昭和20年教授に就任し、以後昭和42年東京芸術大学を退官するまで教鞭をとる。同大名誉教授。
帝展・文展・日展等で作品を発表する一方、旧朝鮮総督府博物館所蔵の大谷探検隊将来西域壁画や東京帝室博物館所蔵の各種古画の模写を重ね、昭和28年からの宇治平等院装飾画の模写・復元を担当。昭和30年からは文化財保護委員会(現文化庁)の委嘱により我が国の装飾古墳壁画の現状模写と復元模写に着手し、熊本・佐賀・福岡・大分・大阪・福島・宮城などに所在する全国の主要な装飾古墳の壁画模写を完遂し、我が国の装飾古墳研究に多大な貢献をした。