OKADA-ROOM Vol.24 「色が見えすぎてその取捨に困る」―岡田三郎助の色彩
※この展覧会は終了しています。
佐賀県立美術館は開館以来、明治から昭和初期にかけて活躍した佐賀県出身の日本近代洋画の巨匠、岡田三郎助(おかだ・さぶろうすけ、1869~1939)の画業と人物を顕彰してきました。
岡田三郎助の作品の特色の一つに、色彩表現の美しさが挙げられます。明治27年(1894年)にフランス留学から帰国したばかりの黒田清輝、久米桂一郎と出会った岡田は、彼らの薫陶を受け、外光下での明るい色彩表現に開眼していきます。自身もフランスで学び、色彩に対する感性にさらに磨きをかけた岡田は、黒田らの組織した新風洋画団体「白馬会」に加わり、その優美な色調と気品に満ちた画風で洋画界を牽引しました。岡田の弟子である岩田藤七(いわた・とうしち、1893~1980)は、「私は色が見えすぎてその取捨に困る」と岡田が語っていたことを述懐しています。その言葉通り、岡田の約50年にわたる画業は、色彩への飽くなき探求を通じて、自身の理想美を追い求めることに捧げられた生涯であったと言えるでしょう。
本展では、岡田の用いた色彩に注目し、初期から晩年までの作品にみる色遣いの変遷を、館蔵を中心とした岡田の名品から御紹介します。初期の名作《矢調べ》、岩絵具を用いた《コローの池》、色遣いの洗練を極めた晩年の傑作《裸婦》など15点を通して、岡田の薫り高い色彩表現の世界をお楽しみください。
OKADA-ROOMについては【こちら】
岡田三郎助アトリエ【こちら】
会期 | 2022年6月3日(金曜日)~8月14日(日曜日) |
開館時間 | 9時30分~18時 |
休館日 |
毎週月曜日 |
会場 | 美術館1階 OKADA-ROOM |
観覧料 | 無料 |
その他 |
フラッシュ類や、三脚等の機材を用いての写真撮影はご遠慮ください。 |
出品作品
No. |
作品名 |
作者名 |
制作年 |
材 質 |
所蔵等 |
初期―褐色 |
|||||
1 |
中野多津像 |
岡田三郎助 |
1893(明治26)頃 |
油彩・カンヴァス |
個人蔵(当館寄託) |
2 |
矢調べ |
岡田三郎助 |
1893(明治26) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
色彩への目覚め |
|||||
3 |
大磯風景 |
岡田三郎助 |
1894(明治27) |
油彩・板 |
佐賀県立美術館 |
4 |
自画像 |
岡田三郎助 |
1899(明治32) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
5 |
西洋婦人像 |
岡田三郎助 |
1900(明治33) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
白馬会の色彩―調和と自然 |
|||||
6 |
ぬいとり |
岡田三郎助 |
1914(大正3) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
7 |
薊 |
岡田三郎助 |
1908(明治41) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
8 |
桃の林 |
岡田三郎助 |
1917(大正6) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
9 |
伊豆山風景 |
岡田三郎助 |
1935(昭和10) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
10 |
淙々園にて |
岡田三郎助 |
1935(昭和10) |
油彩・カンヴァス |
個人蔵(当館寄託) |
円熟―金と銀 |
|||||
11 |
少女 |
岡田三郎助 |
1932(昭和7) |
油彩・カンヴァス |
個人蔵(当館寄託) |
12 |
コローの池 |
岡田三郎助 |
1931(昭和6) |
岩絵具・カンヴァス |
個人蔵(当館寄託) |
頂点―豊麗なる色彩 |
|||||
13 |
裸婦 |
岡田三郎助 |
1935(昭和10) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
14 |
薔薇 |
岡田三郎助 |
1931(昭和6) |
油彩・カンヴァス |
佐賀県立美術館 |
15 |
絵具箱・パレット |
岡田三郎助愛用 |
佐賀県立美術館 |
岡田三郎助《矢調べ》
1893(明治26) 佐賀県立美術館蔵、佐賀県重要文化財
岡田三郎助《大磯風景》
1894(明治27) 佐賀県立美術館蔵
岡田三郎助《少女》
1932(昭和7) 個人蔵(佐賀県立美術館寄託)
岡田三郎助《薔薇》 1931(昭和6) 佐賀県立美術館蔵