佐賀県立博物館|佐賀県立美術館

EXHIBITION展示案内

特別展示「秋山好古・真之の手紙」

※この展覧会は終了しています。

博物館 2011年1月15日(土曜日)~ 2011年2月20日(日曜日)
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 県教育委員会は、新春企画として、小説『坂の上の雲』(司馬遼太郎著)の主人公秋山好古・真之兄弟が佐賀市出身の塚原嘉一郎及びその妻與志(秋山好古の長女)にあてた書簡16通等を、佐賀県立博物館において特別展示します。

 これらの書簡等は、昨年、塚原嘉一郎氏の御長女から佐賀県立図書館に寄贈されたもので、書簡16通の複製(レプリカ)は、県立図書館において公開していましたが、このたび、書簡16通の実物をはじめ寄贈された資料の中から、好古・真之の名刺、真之追悼紀念葉書等38点を初公開します。

 また、これを記念してNHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』のエグゼクテイブ・プロデューサー 菅 康弘さんによる新春記念講演会を開催します。明治期の日本を描く『坂の上の雲』番組制作の経緯や逸話などお話しいただきます。

 なお、現在、佐賀県立美術館では、「九州山口の近代化産業遺産群」の世界遺産登録に向けた展覧会「幕末佐賀の近代化産業遺産」を開催しています。今回の特別展示及び新春記念講演とあわせて御覧いただくことで、幕末・明治期の日本、佐賀に思いを馳せるとともに、秋山真之が活躍した海軍発祥の地とも言える佐賀県関係資産の三重津海軍所跡をはじめ関連資産への関心を高めてもらい、世界遺産登録に向けた県民の皆様の機運が一層盛り上がることを期待しています。

 たくさんの皆さまの御来場をお待ちしています。

会期 平成23年1月15日(土曜日)~2月20日(日曜日)
会場 佐賀県立博物館 3号展示室
主催 佐賀県教育委員会
展示資料 秋山好古・真之の書簡、秋山好古・真之の名刺、秋山真之写真、秋山真之短歌、塚原嘉一郎写真、塚原嘉一郎鞄等38点(すべて実物資料)
※展示資料一覧と秋山好古・真之書簡の概要
※人物の説明
観覧料 無料
ギャラリートーク
  1. 2月5日(土曜日)、3月5日(土曜日)各日14時~
  2. 事前申し込み不要。参加無料。

展示解説

寄贈資料の調査を担当した職員による展示解説を行います。

  • 日時:1月15日(土曜日)・22日(土曜日)・29日(土曜日)いずれも13時~13時30分
  • 解説者:佐賀県立図書館 資料課郷土資料担当係長 多々良友博
  • その他:無料、事前予約不要

新春記念講演会

  • 日時:平成23年1月29日(土曜日) 14時~15時30分(開場:13時30分)
  • 場所:佐賀県立美術館ホール(佐賀市城内1-15-23) [定員480名]
  • 講師:NHKエグゼクティブ・プロデューサー 菅 康弘 さん
  • 演題:「NHKスペシャルドラマ『坂の上の雲』制作裏話」
  • 聴講料:無料(事前申込不要)
  • 主催:佐賀県教育委員会
  • 後援:NHK佐賀放送局、佐賀県読書推進運動協議会
講師プロフィール

kanyasuhiro

 NHK放送総局 エグゼクティブ・プロデューサー 菅 康弘(かん やすひろ) さん

  • 昭和33(1958)年、愛媛県の生まれ。
  • 昭和57(1982)年、NHK入局。
  • 昭和61(1986)年よりドラマ番組部。

◎主な演出作品

  • 大河ドラマ「翔ぶがごとく」
  • 日中合作ドラマ「流れてやまず」
  • 連続テレビ小説「ええにょぼ」
  • BSサスペンスドラマ「サザンスコ-ル」他

◎主なプロデュース作品

  • ドラマ「流通戦争」
  • BSドラマ「鶴亀ワルツ」
  • 金曜時代劇「一絃の琴」
  • 連続テレビ小説「ちゅらさん」(2002年エランド―ル賞プロデューサー賞受賞)
  • 連続ドラマ「ロッカーのハナコさん」(2002年10月期月間ギャラクシー賞受賞)
  • テレビ放送50周年記念ドラマ「川、いつか海へ」他

※現在スペシャルドラマ「坂の上の雲」第3部制作中

展示資料一覧

No.資料名件数点数備考
(1) 秋山好古書簡 10 10 塚原嘉一郎あて9通、塚原與志あて1通。
時期は、大正4年(1914/好古54歳)~
昭和4年(1929/同69歳)の15年間で、好古が亡くなる前年まで。
(2) 秋山真之書簡 6 6 塚原嘉一郎あて6通。
時期は、明治42年(1909/真之41歳)~
大正6年(1917/同49歳)8年間で、真之が亡くなる前年まで。
(3) 秋山好古名刺 1 1 肩書「陸軍大将」
(4) 秋山真之名刺 1 1 肩書「海軍少将」
(5) 塚原嘉一郎名刺 1 1 肩書「東杵島炭坑代表取締役」
(6) 秋山真之写真 1 1 大正4年撮影
(7) 塚原嘉一郎写真 1 1 晩年期撮影
(8) 塚原嘉一郎鞄 2 2 革製
(9) 評伝(書籍) 7 12 『坂の上の雲』(全6巻)
『秋山好古』
『名将秋山好古』
『伝記小説 将軍秋山好古』
『秋山真之』
『知将秋山真之』
『秋山兄弟の生き方』
(10) 秋山真之追悼紀念葉書 2 2
(11) 秋山真之短歌 1 1 題「社頭杉」
33 38 全て塚原嘉一郎氏長女寄贈資料

【秋山好古・真之書簡の概要】

 書簡にはシミなどが一部残っていますが、封筒や紙袋などに入れられたまま80年近く保存されていたため状態は良好です。

 (1)好古の書簡は、大正4年(1915)に嘉一郎が結婚して以降のものです。内容は、好古の朝鮮における業務、長女與志との生活についての助言、家族の近況報告などについて細々と書き送っています。好古の家庭人としての側面を知ることができます。 

 また、(2)真之の書簡は嘉一郎が結婚する6年程前から送られています。真之にとっては姪の婿となると同時に、孫文を援助するなど中国問題に関する同志でもあった嘉一郎には、薬や酒を送るようにとの依頼やそのお礼などを書き送っています。

 なお、寄贈いただいた16通は私信であり、往復書簡という形で確認されていないため、当時の状況をすべて把握できるものではありません。

人物の説明

塚原嘉一郎(つかはら かいちろう)

tsukaharakaichiro 明治11年~昭和35年(1878~1960)。佐賀郡新北村(現在の佐賀市諸富町)寺井津に生まれ、慶應義塾を卒業後、三井物産(三井洋行)に入社。
 大正4年(1915)、第一次世界大戦での青島占領等の功績から勳六等瑞宝章を授与。
 三井物産を退社した大正6年(1917)、中国の鉱業と主要物産開発を目的とした日支組合規約の締結に関わり、広東省興寧鉄山の開発契約締結に関わる。日支組合規約には、日本側から犬塚信太郎、秋山真之、塚原嘉一郎、菊池良一、芳川憲治の5名が、中国側から孫文、張人傑、蒋介石等6名が署名。
 昭和7年(1932)以降、東杵島炭坑(小城郡砥川村、現在の小城市牛津町)の常務取締役として、台湾財界の後宮信太郎、赤司初太郎、田中清等と経営にあたり、山口慶八、新井琴次郎等と炭田開発と会社運営にあたる。
 戦後も、晩年まで福岡県苅田炭坑、長崎県高島炭坑等に関わり続け、まさに、鉱業家としての一生を過ごす。
【佐賀県立図書館作成】

秋山好古(あきやま よしふる)

akiyama-yoshifuru 安政6年1月7日~昭和5年11月4日(1859~1930)。愛媛生まれ。陸軍軍人。父は松山藩士。
 秋山真之の兄。陸軍士官学校卒業。陸軍大学校を経て、明治20年(1887)フランスに留学。
 日清戦争後、陸軍乗馬学校長に就任し、騎兵科の確立に尽力。日清・日露戦争では騎兵部隊指揮官として活躍した。日露戦争後は騎兵監、近衛師団長、朝鮮駐箚軍司令官などを歴任、大正5年(1916)大将に昇進。同9年(1920)教育総監、12年(1923)予備役となる。退職後、郷里松山の中学校長を務めた。
【国立国会図書館HP「近代日本人の肖像」による】

秋山真之(あきやま さねゆき)

akiyama-saneyuki 明治元年3月20日~大正7年2月4日(1868~1918)愛媛生まれ。海軍軍人。父は松山藩士。
 秋山好古の弟。海軍兵学校卒業。明治25年(1892)少尉。砲艦筑紫の航海士として日清戦争に従軍。30年(1897)米国留学、33年(1900)まで米西戦争の観戦、米国海軍での実地研修などを通じ、軍事理論の研鑽を積む。帰国後、海軍大学校教官となり、海軍の戦略・戦術・戦務などを講義、その後長らく日本海軍の兵学の基本理論となる。日露戦争では連合艦隊作戦参謀として活躍。大正3年(1914)海軍省軍務局長、6年(1917)中将となる。
【国立国会図書館HP「近代日本人の肖像」による】